LAS Production Presents
Soryu Asuka Langley
in
starring Shinji Ikari
and Rei Ayanami as Misty Girl
Written by JUN
Act.2 R E I
- Chapter 4 -
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「うわっ!おっきな、くすのき!」
「本当だ…凄いや」
「しかも夜だから威圧感もあるわよね」
「うん、まるで覆いかぶさってきそうな感じ…」
「はん!臆病者」
「アスカはどう思うんだよ」
さすがに臆病者とまで言われると、シンジも態度を硬化させた。
「そうねぇ…私は大地を支えてくれてるって感じかなぁ…」
まるで樹に語りかけるように、アスカは言った。
シンジはアスカの違った一面を見たような気がした。
巧く言えないが、一瞬あの大胆不敵なアスカが儚げに見えたのだ。
くすのきの太い幹に掌を当て、真っ黒にしか見えない樹の上方を見上げている。
シンジはその時、アスカの背中をぎゅっと抱きしめたい衝動に駆られた。
実際その無防備な背中に引き寄せられるように、一歩二歩近づいていった。
瞬きもできないほど、アスカの華奢な背中に魅せられている。
汗ばんだ掌を開き、背後からぎゅっと……。
「ぎゃぁっ!」
突然、どこかから物凄い悲鳴が聞こえた。
アスカが驚いて振り向くのと、シンジがびっくりしてつんのめったのが同時だった。
「何?今の?」
自分の方に倒れてくるシンジを軽くかわして、アスカは暗闇を見透かした。
悲鳴は何度も聞こえ、移動しているようだ。
そしてだんだん小さくなっていく。
集中して聞いていたアスカがぼそりといった。
「あれって…ヒカリじゃないかしら。シンジ?」
振り返ると、シンジは抱きついたような体勢で幹にへばりついている。
「アンタ、何してんのよ」
おでこを打って、軽い脳震盪を起こしていたシンジがようやく復旧する。
「な、何って…その…」
言えない。
親分を襲おうとしていたなんて、口が裂けても言えない。
この時ばかりは鈍感なアスカに感謝するシンジだった。
「ま、そんなのどうでもいいわ。それより、今の悲鳴よ!」
「あ、うん。あれ、トウジたち?」
「多分ね」
「何だろ?何かに襲われたのかな?」
「何かって何よ」
「えっと…熊とか…」
「はぁ?」
「いやいや、あの…ジェイソンとか…」
「はぁ…、アンタに意見を求めた私が馬鹿だったわ」
「ごめんなさい」
アスカは呆れた表情から、瞬時に顔を引き締める。
「行くわよ、馬鹿シンジ!」
「えっと、前に、だよね」
「当たり前でしょ。友達が悲鳴あげてんのよ。知らん顔できるわけないでしょ!」
「でも…」
「怖いの?」
不思議に怖くはなかった。
シンジでも二人のことが心配だったのだ。
しかし、アスカのことが心配である。
もし、変質者とか悪い連中が相手ならアスカが無事でいられるわけがないからだ。
アスカはそんなシンジの顔を覗き込んだ。
「はん!私なら大丈夫よ。それに…」
「それに?」
「もし何かあったら、馬鹿シンジ!」
「はい!」
「アンタ、命がけで私を守りなさいっ!」
「はいっ!」
暗闇に元気よく、シンジの声が木霊した。
アスカはその返事に満足だった。
「じゃ、行くわよ!着いてきなさい!」
シンジは大きく頷いた。
先頭を進めないのは情けないが、アスカのためになら命を投げ出す覚悟のシンジだった。
問題の二人…トウジとヒカリは疾風のごとく森を駆け抜け、そしてそのまま民宿に駆け戻った。
そして、震えるヒカリをトウジはしっかりと抱きしめていた。
この二人に何があったのだろうか?
こちらはスタート地点。
することもない、世間話をする気もないマナは退屈そうに木切れで地面に絵を描いている。
へのへのもへじ……。
どういう意味だろうか、ケンスケは真剣に悩んでいた。
しかし、その落書にはまったく意味はなかった。
本当に暇だったのである。
あまりの退屈さに、ついにマナはケンスケの誘いに乗ってしまった。
暇な時に地面を使うのは、○×ゲームしかない。
しかもマナは弱い上に、負けず嫌いだった。
事態はケンスケがまったく予期しなかった方向に流れ出した。
ケンスケは幸せだった。
だが、夜更けに地面にうずくまった若い男女が○×ゲームをしている風景は異様である。
さて、アスカとシンジである。
ヒカリたちが汗びっしょりになって民宿にいることも知らず、二人は彼女たちを探していた。
アスカが先頭で、シンジがその後にくっついていく。
「いないわねぇ、どこにも」
「うん。大丈夫かなぁ」
「あのジャージ男は信用できる?」
「えっと…どういう意味?」
「二人きりをいいことに女の子に襲い掛かったりしないかってこと」
「あ、それは大丈夫だと思うけど…」
「どうしてよ」
「う〜ん、僕と違って、トウジは漢だから」
「男って、アンタも男でしょうが」
「漢字の漢の方の男。嫌がってる女の子になんて、絶対にしないよ」
アスカは急に振り返った。
そして、シンジをじろりと睨みつけた。
「な、何?」
「それじゃ、漢字の漢の方の男じゃない馬鹿シンジは、二人きりになったら女の子に襲い掛かったりするわけぇ?」
「うっ!」
例えが悪かった。
その上、つい先ほどアスカの背中にむらむらっと来た直後である。
正直者のシンジが気の利いた返事を返せるわけがない。
「ちょっと、何黙ってんのよ!」
「あ、あの…」
「何よ、目逸らしちゃったりしてさ…。はは〜ん、てことは…」
アスカは腕組みをして、にやりと笑った。
「アンタ、私を襲おうとしたのねっ!」
「うっ!」
さらに視線を逸らそうと首を曲げたが、アスカは正面に素早く移動した。
「アンタ、わかりやすいわねぇ。いつよ!」
「あ、あの、さっきのくすのき……」
「げっ!ついさっきじゃない!アンタ、そんなこと考えて…あっ!そういやアンタに樹にぶつかって…」
シンジは消えてなくなりたかった。
「なるほど、私はずっと暴行犯と真っ暗なところを歩いていたわけね」
「そ、そんな、暴行犯だなんて」
「おだまりっ!」
「はいっ!」
「未遂でも襲おうとしたんじゃない。アンタは立派な暴行犯よ!」
シンジはうなだれた。
もう終わりだ。アスカに嫌われた。
何で僕はあんなことをしようとしたんだろう?
けだものだ、僕は!
取り返しのつかない思いにシンジは胸が張り裂けそうだった。
ところが、口調とは裏腹にアスカは少しも不快ではなかった。
襲われたりするのは絶対にイヤだ。
だけど、シンジが自分にそんな感情を抱いたということを知って、何故か嬉しかった。
何故嬉しいのかまったくわからなかったのだが、とにかく腹は立っていない。
その整理できない感情を収めるのに、シンジを恫喝していたのだ。
「許して欲しい?」
「う、うん!お願いします!もう、絶対にしません!」
「私以外の誰にもしちゃだめよ!」
「はいっ!」
二人とも気づかなかった。
私以外の……。
ということは、私はOKということでいいのだろうか?
発言したアスカも、直立不動で聞いていたシンジも、どちらも認識していなかった言葉。
「一生したらだめよ!」
「はいっ!」
「じゃ、自分で宣言なさいよ」
「うん、僕は死ぬまで誰も襲ったりしません」
シンジははっきり言った。
その言葉でいいはずなのに、アスカは何故か引っ掛かった。
そして、思いついた。
「あ、私にはいいわよ」
「はい?」
「だから、私はいいから」
「へ?」
「もう!わかんないヤツね。誰もダメってのは可哀相だから私にはしてもいいって言ってんでしょ!」
沈黙。
シンジは固まってしまった。
今のアスカの言葉を鵜呑みにしていいんだろうか?
アスカを襲ってもいいってことは、アスカは僕のことを…。
いやいや、アスカのことだから額面通りに受け取ったらまずいんじゃないだろうか…。
「どうしたの、シンジ。黙り込んじゃって」
「お、襲ったら…」
「ん?」
「アスカを襲ったら、僕はどうなるの?」
「さあね、生きてるかしらね?」
やっぱり…。
間違いなく僕は殺される。
その白い顔が仄かに見える程度の暗がりで、アスカはやれるもんならやってみなさいよとばかりに、腕組みをしてにたにた笑っている。
よほど自信があるんだろうな……空手?それとも合気道?
あんな華奢な身体で凄いや…。
シンジは完全に誤解していた。
アスカが自信たっぷりなのは、腕に自信があるからではなく、シンジに対して自信があるからなのだ。
「じ、じゃ…チャンスがあったら…」
シンジはおずおずと言う。
どこの世界に、隙があったらレイプするなどと宣言する馬鹿がいる。
案の定、アスカの拳骨がシンジの頭に落ちた。
「痛っ!」
「図々しいわよ、このレイプ常習犯!」
「そ、そんな…」
「出逢った時にビキニを引き千切ったの忘れたの?」
「あれは事故…」
「却下。じゃ、判決」
「い、いきなり…」
「そうねぇ…とりあえず、今晩の夜食を準備してよね」
「夜食?」
「そうよ!アンタ、私に何も食べさせずに一晩過ごせっていうの?」
「一晩って…まさか、今晩のこと?」
「あったり前じゃない。約束したでしょ!アンタ忘れたの?」
「そ、それは覚えてるけど。肝試ししてるから、てっきり…」
「肝試しは肝試し、お泊りはお泊りよ。私は行くわよ。迷惑なら…ま、それでも行くけどね」
「迷惑なんかじゃないよ、大歓迎だよ。でも…本当にいいの?」
「何が?」
「僕は…、レイプ常習犯なんだろ」
「は?」
「だ、だから、そんな男と一緒にお泊りしていいの?」
「はぁ?どこの誰がアンタにそんな酷いこと言ったのよ」
「アスカ…」
「私?私はいいのよ、何言っても」
アスカは断言すると、踵を返した。
「着いてらっしゃい、馬鹿シンジ」
「う、うん」
シンジは完全に振り回されていた。
本当ならむかっ腹を立てなければいけないところなのだが、不思議にアスカに腹は立たない。
もっともアスカが指摘していることは限りなく事実に近いのだから、仕方がないとも言える。
ただシンジの名誉のために言っておくが、苛められて楽しいわけではない。
相手がアスカだからだ。
何よりもアスカのことを好きなのだから、何を言われてもいいと思っていることが最大の原因と言えよう。
そんなシンジはアスカの三歩後を着いていく。
アスカはともかく、シンジの頭からヒカリの悲鳴という存在は消えていた。薄情な男である。
そのヒカリとトウジには危険は全くなかった。
危険ということにおいては、この二人の方が大きな危険に晒されていたのである。
「お前ら、暗いとこで何しとんねや」
「ガキか、ほんまに。真っ暗な中で、○×なんかして楽しいんか」
「それよりわしらと楽しいことしようや」
もちろんこの連中にも親がつけた名前があるのだが、別にこの後登場の予定もないので適当にABCとしておこう。
「な、何よ、アナタたちは!」
「へぇ、気の強い女やで」
「兄ちゃんの方はビビッてるのになぁ」
ケンスケはビビっていたわけではなかった。
しかし、この連中とまともに勝負して勝てるわけがない。
体格も違う上に、相手は3人だ。
ケンスケに残されていたのは、マナを無傷で逃がすことしかなかった。
そのために彼は機会を窺っていたのだ。
まずいよな、これは。
俺だけでも逃げるのは無理だってのに…。
こいつらの目的はマナちゃんなんだから、そうは簡単に逃がしてくれそうもない。
ここは油断させておかないと…。
ケンスケはベタンと尻を地面につけて俯いていた。
そんなケンスケをマナは軽蔑していた。
自分に気があるような素振りを見せていたのに、いざとなるとこの体たらくだ。
私って、不幸の塊…。
「さぁて、ほんならわしらとええとこ行こか」
「いやよ!」
「そないいやがらんでもええがな。優しゅうしたるさかいに」
「絶対にいやっ!」
「あほか、お前ら。さっさと連れてかんかいな、遊んどらんと」
「いやぁぁっ!」
Aに腕を掴まれたマナが絶叫する。
その瞬間、ケンスケがAの内懐に飛び込んでいった。
鳩尾を目掛けての頭突き。
「うっ!」
「逃げろっ!」
「野郎っ!」
マナの手を離して後ずさりしたAの代わりに、BとCが向かってくる。
「早く、逃げろ!」
ケンスケは右手に握っていた砂をBの顔にぶちまける。
「げっ!」
しかし、そこまでだった。
左手に持っていたカメラをCni向かって投げつけたのだが、
命より大事にしていた一眼レフはCの体にかすりもせずに地面に落ちた。
無傷のCはあっさりとケンスケの胸倉を掴みあげた。
「アホっ!お前みたいなヤツにわしらがやられるかいな」
一発…そして、もう一発。
胸倉を掴まれたまま、ケンスケは頬を殴られた。
口一杯に錆びた鉄の味が広がる。
「それにとんでもないもん投げよってからに!あないなもんが当たったら痛いではすまんでっ!」
はは…予想通りにはいかないよな…まあ、マナだけでも逃げられたから…。
これから先、自分に与えられるであろう暴力に全身の力が抜けていくケンスケだった。
彼が一眼レフを投げつけたのには二重の訳があった。
それで相手を倒せればラッキーだが、ケンスケは何よりカメラを壊そうと思ったのである。
もし自分が失敗してマナがこの連中に慰み者にされたとしたら、
カメラの存在はマナにとって人生を左右することになってしまう。
だからケンスケは連中に使われないようにと、カメラを壊そうと決意したのだ。
そして何より、ケンスケのマナへの想いはこの時に“恋”へと昇華したのである。
カメラを壊してまで、自分の身体を張っても、マナを守りたい。
そう決意した時だった。
あぶれもの同士とか軽い気持ちで考えていたマナのことを真剣に愛しいと思ったのだ。
ケンスケの恋は、実に極限状態で始まった。
しかし、そんな彼の自己犠牲は実を結んではいなかった。
「きゃっ!」
「こらっ!こっち来んかい!暴れなっ!」
う、嘘だろ…。
逃げる時間はあったのに…。
「へっへっへ、せっかくがんばったのに、姉ちゃんは足がすくんでしもうたみたいやで」
「ちゃうちゃう、わしらと一緒に遊びたかったんや」
「おい、わしにも殴らせるや。砂かぶせよってからに」
「俺の方が先や。頭突きもろうたよってにな」
Aが近づいてくる。
マナの馬鹿…どうして逃げなかったんだよ。
俺…殺されるんじゃないのか…まさか…でも…げほっ!
鳩尾を殴りつけるA。
マナの腕をしっかりと掴んでいるCがへらへら笑っている。
「おい、俺が一番でええか」
「アホ!ジャンケンに決まっとるやろ!ちょっと待ちんかい!」
もう…ダメだ…。
気が遠くなろうとした瞬間、ケンスケはどこかで聴いた事のある声を耳にした。
「おやおや、いったい何の騒ぎだい?」
その悠然とした声に、Aの拳が止まった。
ケンスケ以外の全員が声の方角を見た。
そこに立っていた少年は薄ら笑いを浮かべて、ゆっくりと向かって来る。
「誰や、お前もいてこましてほしいんか」
「野蛮だねえ、君たちは」
「何やと」
「女の子を誘う時は、もっとスマートにしなきゃね」
「野郎っ!」
ケンスケを突き放したAが少年に突進した。
その場に崩れ落ちたケンスケに少し遅れて、Aも地面に転がる。
「猪年かな、君は」
少年は冷笑を浮かべながら軽くステップを踏むように、ゆっくりとBに向かっていく。
「くたばれっ!」
「ふん…」
少年が鼻を鳴らした瞬間に、Bの身体も地面に突っ伏した。
空手か何か、武道の心得があるのだろう。
少年は一撃で二人とも悶絶させてしまった。
「さぁて、残ったのは君だけだよ」
マナの腕を掴んだまま、Cがあとずさった。
「だ、誰や?お前は」
「君たちに名乗るような名前は生憎持ち合わせてなくてねぇ」
「あ、渚のシンドバット!」
マナが叫んだ。
暗がりのために顔が見えなかったマナが、その独特の口調を思い出したのだ。
「シンドバット……って、アイツかいな!」
「その綽名は止めて欲しいなぁ。できれば、カヲル君って言ってもらいたいよね」
「あ、アホっ!お前もわしらも変わらんやないか」
「どういう意味かな?」
「お前も女を何人も捨てとるらしいやないか」
「ふふふ…らしいじゃないよ。いや、捨ててるって言葉は妥当じゃないなぁ。
僕は綺麗に別れているよ。それに無理矢理にはしていないね、君たちと違って」
カヲルはニヤニヤ笑いながら、ゆっくりと近づく。
「それに僕は君たちみたいに肉欲剥き出しじゃないからね。恋愛はスマートに、そして後腐れなく、しなきゃね」
「ほざけっ!」
緊張の限界だったのだろう。
糸が切れたマリオネットのように、Cが殴りかかってくる。
そして、3秒後には気絶した3人と、気絶寸前のケンスケの4人が仲良く地面に転がっていた。
「ふふふ…さてと、じゃ行こうか」
カヲルは立ち竦んでいるマナに右手を差し出した。
その透き通るような微笑は、シンジのそれとは少し違って見えたが、それでもうっとりしてしまうようなものだった。
おそらくこうやって女の子たちは彼の腕に自ら抱かれるのだろう。
マナはそう確信した。
強いし、顔もルックスもいい。
アバンチュールの相手には格好だ。
そして、マナは自分の信念に基づいて返事をした。
「行かない」
カヲルの表情が少し強張る。
「おやおや、あのメガネ君かい?君のお相手には見えなかったけどね」
「相手なんかじゃないわ、あんなの。でも…」
「君のために戦ったからかな?それは無様にね。それが心を打ったのかい?」
「わからない。ただ、今日は…あんな姿の彼を見捨てて、貴方についてはいけない」
「そうか。行かないんじゃなくて、行けないんだね。優しいんだ、君は」
「そんなんじゃない。でも…」
「明日になったら、もう誘わないかもしれないよ」
マナは唇を尖らせた。
「仕方ないじゃない。身体はひとつしかないんだもの」
「ふぅん、きっと後悔することになるよ」
カヲルはにやりと笑った。
「そうかも…。ううん、きっと、そうかもね」
マナは微笑んだ。
明日になればこの人は私のことなんか忘れる。
今だから私を誘っているのだということがよくわかる。
こんなカッコいい男の子の誘いを断るなんて…。
私って、本当に馬鹿。
「ああ、いい笑顔だねぇ。僕は君のすべてが欲しくなったよ」
その一言に、マナはぞくりとした。
多分みんなこんな風になって、この人についていくのだろう。
そして、どういう扱いをされても後悔しない。捨てられても恨みに思わない。
最初からそういう契約をしていたかのように。
マナは精一杯の努力でカヲルから視線を逸らせた。
瞬間、呪縛は解ける。
それからマナは二度とカヲルを見ようとはしなかった。
今度微笑みかけられたら、魅入られたようについて行ってしまう。
もったいないけど、仕方ない。
あのメガネを置いて行ってしまったら、私は人間の屑になってしまう。
それだけはしてはいけない。
私って損な性分なんだ…。
倒れたままのケンスケに小走りに駆け寄るマナの後姿を見て、カヲルは肩をすくめた。
「僕は用済みってことだね。哀しいよ、本当に」
言葉の調子は良かったが、歯切れは悪かった。
唇を噛んでいる彼の表情はいつものような浮かれた様子が見受けられない。
そして、彼は少しづつ後ずさっていき、暗闇の中に姿を消した。
「ねぇ、道に迷ってない?」
「うっさいわね。迷ってないわよ、私は」
「でも…どこにも出ないよ。すぐにアスファルトの道に出るはずだったのに」
「私を信用しなさいってば」
「あ、うん。信用する」
アスカはその答えに心がうきうきとした。
正直に言うと、まったく道がわからない。
ただ一本道になっているからずっと進んできただけだ。
もしかしたら最初に間違えていたのかもしれない。
それでもいいとアスカは思っていた。
迷子になって森の中を彷徨っているのだとしても、シンジとなら退屈しないで済む。
怖くもない。
富士の樹海やアマゾンではあるまいし、迷っていたとしても朝になったら何とかなるだろう。
眠たくなったらどこか適当なところで眠ればいい。
シンジがいるんだから大丈夫だ。
あの頼りない腕を枕にして…いや膝でもいいかな…?
もし何か仕掛けてきても何とかなる。
アスカはそう確信していた。
具体的にどうシンジに反撃するかを考えようとはアスカはしなかった。
それが何故かという事も、もちろん考えてもいない。
実は反撃する気もないなどとは、本人すら気が付いてなかった。
迷子になってもいいと思っていたにもかかわらず、道は開けた。
「あ、あれじゃないの?洋館って」
「そうね、多分」
「あれ?どうしたの?せっかく着いたのに」
何となく不機嫌そうなアスカの様子にシンジは怪訝な顔をする。
「はん!別になんともないわよ。行くわよ、馬鹿シンジ」
「うん」
アスカはシンジの手を握ってきた。
そして、ぐいっと引っ張る。
それは無意識の行動だった。
明かりも灯っていない洋館。
暗闇の中にまるで二人にのしかかってくるような威厳を持ったその外壁。
「トウジたち、いるかな?」
「さあ?呼んでみれば?」
「うん」
シンジは大きく息を吸い込んだ。
「トウジ!洞木さん!いたら返事して!」
その叫びはまるで洋館の中に吸い込まれるように消えた。
「何かに怖がって叫んでたのかもしれないわよ」
「でも…」
「この中で何か見たとか」
「えっ?何かって何?」
「本物のお化けとか…」
「え…、そんなの、イヤだな…」
「はん!アンタ、臆病者ねぇ」
にやっと笑うアスカだったが、実はアスカは幽霊は苦手である。
心霊番組なんか見ないし、漫画や映画でもいつもそれとなく敬遠している。
現実的な暗闇とか建物、遊園地のお化け屋敷も怖くはない。
ただ、幽霊という存在だけが怖いのである。
日頃の言動から周囲のものはまったく気づいていないのだが…。
片やシンジの方はまったく怖いと思っていない。
どちらかというと彼は現実的な方に怖さを覚えるのである。
したがって、アスカは虚勢を張っている。
その癖、アスカはシンジの手をぎゅっと握り締めている。
「で、この建物で何するのよ」
「あ、奥の部屋にろうそくが置いてあるからそれをとって来るんだよ」
「ふ〜ん、それだけか」
アスカは建物を眺めた。
「どこから入るのよ。さっさと済ましてしまいましょ!」
肝試しは怖くないが、幽霊だけは怖い。
ヒカリの悲鳴が幽霊の存在をアスカに想像させてしまっているのであった。
「アンタ、一度来てるんでしょ」
「うん、昼間に」
「じゃ、アンタが先に進みなさいよ」
「わかった」
「あ、それから」
「何?」
「手…、離すんじゃないわよ。躓いたりするのヤだからね」
「あ、うん」
怖いということを素直に言えないアスカと、本人から手を繋ぐことを認められて内心喜んでいるシンジ。
需要と供給という面から見れば、少し食い違いはあるが利害は一致している。
その相手と手を繋いでいたい。
しかし、アスカはまだ気づかないのだろうか?
シンジと手を繋いでいると、安心し…そして、胸がどきどきしていることを。
おそらく、幽霊への怯えが余計に胸のどきどきを誤解へと誘っているのだ。
シンジは昼間に確認していた扉から中に入る。
もちろん電灯など点いていないから、懐中電灯だけが頼りだ。
「広いのね…」
「うん。別荘だと思うんだけど、かなり大きいね」
「火事で焼けたんなら建て直したらいいのに。どうせお金持ちなんだから」
「うん、そうだね。きっと何か理由があるんだよ」
「どうせ税金とかそんなのでしょ。でもさ、火事で焼けた割には綺麗じゃない?」
「うん、それはみんなとも話したんだ。まるで誰かが掃除しているみたいだって」
「誰かって誰よ」
「あはは、幽霊じゃないよね。掃除する幽霊なんて聞いた事ないし」
「そ、そうなの?」
幽霊の話題に少しだけ言葉が引っ掛かってしまったアスカである。
「物を散らかす幽霊ならいるけどね」
「ここに?!」
一オクターブは高い声を出してしまったが、シンジはそれほど気にしていない。
「ポルターガイストだっけ?」
「知らないわよ、そんなの」
「ほら、映画とかで見たことない?」
「ないわ、くだらないもん!アンタ、そんなのが好きなの?」
「えっ、別に好きってわけじゃないけど…」
シンジは着実に歩いていく。
その物怖じしない態度に、アスカは別人を見るような気持ちだった。
情けない、頼りないだけのヤツじゃないんだ…。
ただし、この場合、シンジが幽霊を怖がらない事と、
アスカにいいところを見せたいという思いが強いことが大きく影響している。
結果的には、シンジのポイントはかなりの角度で急上昇していたのだ。
問題はアスカ本人にその意識がないということなのだが。
「ここの中だよ」
「あ、そうなの。意外に簡単よね」
アスカは内心ほっとしていた。
幽霊なんかいない。
いないとは思うけど、いるかもしれない。
そんな場所にいるよりも、さっさと肝試しを終わらせてシンジとお泊りして遊びたい。
ポーチの中にトランプやUNOをしっかり用意しているのである。
だが、肝試しは簡単には終わってくれなかった。
「ほら、あそこにろうそくが…あれ?」
「な、何よ」
「変だなぁ。どうしてろうそくに火が点いてるんだろう?」
シンジの肩越しにアスカも扉の中を見た。
確かに3本のろうそくに火が灯っている。
食堂だったのだろう。
大きなテーブルの上に燭台が乗っていて、そこにろうそくが立っている。
「それにあんな燭台、昼間にはなかったのに」
「私が点けたの」
アスカの背中で声がした。
その瞬間、アスカの背筋を皇帝ペンギンの大群が走りぬけた。
「きゃあぁぁぁっっっ!」
条件反射で絶叫してしまったアスカ。
咄嗟に振り返ったシンジの目に、アスカの肩の辺りに少女の首が見えた。
もちろん首から下もあったのだが、そこまで見えるほど明るさがない。
「君、幽霊?」
その一言がアスカの恐怖心を爆発させた。
何と、シンジの胸に抱きついたのだ。
「いやっ!いやよっ!幽霊はいやっ!」
全身を震わせてシンジに抱きつくアスカ。
シンジは突然出現した幽霊のような少女よりも、急変したアスカの様子に驚いてしまった。
「ど、ど、どうしたんだよ、アスカ!」
「怖いのっ!幽霊、いやっ!怖いよぉっ!」
まるで童女のような口調で声を震わせるアスカ。
可愛い…。
アスカの背中を抱きしめながら、思わずそう嘆息したシンジだ。
あの気の強いアスカにこんなに可愛い一面もあるんだということを知ったシンジには、
もうアスカ以外の女性はこの地球上に存在しなかった。
たとえそれが幽霊であっても。
「私、幽霊じゃない。でも、幽霊みたいなもの…かも」
ぼそりと呟いた少女の声に、アスカはぴくりと肩を震わせた。
「えっと…じゃ、生きてるんだ」
「うん…」
その返事を聞いた途端、アスカは復活した。
「何よっ!人間ならそうおっしゃいよ!はんっ!」
シンジの胸から素早く離れると、少女の方を向いて腰に手をやって胸を張った。
ついさっきまで泣き声に近い状態にまでなっていたとは思えない。
正直、シンジはがっくりしてしまった。
せめて、後1分…いや、10秒でもいいから、あんなアスカを抱きしめていたかった。
小鳥のように震えるアスカを。
照れ隠しもあったのだろう、アスカは饒舌だった。
「アンタ誰よ。どうしてこんなとこにいるのよ?肝試しで迷ったとかそんなの?まさか一人でうろうろしていたんじゃないでしょ」
少女はふるふると首を横に振った。
「ここに…住んでるの」
「へっ?何それ。アンタ、ホームレス?」
「違う。ここは私の家」
「嘘。廃墟じゃない、ここ」
「じゃ、火事になる前から?」
少女はこくんと頷いた。
「え?ならお金持ちじゃない。どうしてこのままにしてんのよ?私たちみたいなのが好きなように入ってくるわよ」
「だって…お金がないもの」
少女は闇夜でもはっきりとわかる赤い瞳を瞬きもせずに見開いていた。
首元まで覆っている黒い服から覗く異常なまでに白い肌は、あきらかにアルピノであることを示している。
髪の毛も薄い水色である。
こんな格好でここにいると幽霊に間違えられてもおかしくない。
「私、地下室に住んでいるの。私がここにいることがわかると、冬月さんに迷惑がかかるから」
「冬月さんって誰よ?」
「私です」
シンジの肩越しに男の声がした。
「うわっ!」
「失礼しました。私、足音がしないものでございますから…。先ほども貴方たちのような方たちを驚かせてしまいました」
アスカとシンジは新たな参入者を見た。
やはり黒い服に身を包んでいる、初老の男だった。
彼は頭を下げると、神妙な顔つきで淡々と話した。
「私、冬月と申します。綾波様の執事を勤めさせていただいております」
「もう、執事なんかじゃない…」
少女は軽く首を左右に振った。
「いいえ、お嬢様。私は死ぬまで、貴女様の執事でございます」
アスカとシンジを間に挟んで視線を交わす二人に、親分と子分は首を傾げた。
「何だか複雑そうね」
「うん…」
やがて二人は食堂の中に招き入れられた。
「申し訳ございませんが、饗応できるようなものが何もございません。お許しください」
深々と頭を下げる冬月に、アスカとシンジは揃って掌を左右に振った。
「とんでもない!」
「そうですよ、勝手に入って来たんですから」
「ありがとうございます。その日暮しのようなものでございますので…」
「あっ!私、クッキー持ってる。食べる?」
アスカは少女にウエストポーチからお菓子の入った包みを差し出す。
シンジと食べようと用意していたものだ。
少女は少し微笑むと、こくんと首を縦に振った。
冬月の方は結構ですと、笑って答えた。
「あ、僕、水筒があった。麦茶だけど…」
シンジは背中のリュックから小さめの水筒を引っ張り出した。
「コップはひとつしかないけど…」
「カップならございます。器だけは…」
冬月は壁面に向かうと、隠し戸棚を開いた。
そこには見るからに高価な食器が並んでいる。
「そ、そんなのに入れるんですか?麦茶ですよ」
「いいの。麦茶でもご馳走だから」
アスカは考えていた。
その日暮しをしているということはどういうことなのだろうか?
地下室に住んでいるというこの少女は、どうして私たちを招き入れたのか?
いくら推理してもわかるわけがない。
そこで、アスカは単刀直入に聞いた。
それは悲劇的な話だった。
少女の名前は綾波レイといった。
彼女の家…綾波家は結構名の通った紡績会社の創業者の直系であった。
当然、彼女の父親は社長を務め、家族三人で幸福な生活を送っていた。
一人娘のレイはアルピノの生まれだったので、両親は彼女のことをそれは慈しんだ。
だが、彼女の15歳の冬。
別荘でクリスマスを過ごしていた家族を突然の業火が襲った。
夜中にガレージにもぐりこんだ浮浪者が暖をとろうとして、灯油とガソリンを間違えたのだ。
屋敷の中で午前3時過ぎに起きているものは一人もいなかった。
そして、レイの両親は帰らぬ人となった。
「クリスマスの夜だけに使用人たちに休暇を出していたのが仇となりました」
冬月が瞑目した。
「私のような者だけでは、お嬢様お一人を何とかお助けするのが精一杯で…」
「冬月さん…」
レイは席から立って、テーブル脇に立ち竦む冬月の背中に掌を当てた。
「でも、そのお嬢様も…」
「もう…言わないで」
「思い出した…」
アスカが呟いた。
「確か、その会社ってつぶれたんじゃない?新しい社長が悪かったか何かで」
「はい。従兄弟の方が継がれたのですが、強引なやり方に市場の反発を受けまして。
それにお嬢様の面倒を見ようともなさりませんでした」
この別荘だけが廃墟同然なだけに冬月のつつましい貯蓄で贖うことができた。
そして、そこにレイを隠すように住まわせた。
火事以降、人前に出ることを彼女が嫌ったからだ。
それに会社を潰した社長がレイを探しているという。
債務責任を死んだ前の社長に負わせるために良からぬ画策をめぐらしているのだとか。
レイに残されるはずの保険や遺産を横取りし、会社の債務に回そうとしているのだ。
レイを見つけたら、強引に書類にサインさせるつもりなのである。
「何それ。信じらんない!会社潰したのは自分じゃない」
「はい、誠に。とんでもないことをされる方でございます」
「それで、ここの地下室に住んでいるの?」
「そう…隠れておかないといけないから」
「ああっ!もうっ!そんなのおかしいじゃない!悪いのはあっちなんでしょ!」
「ええ、でもこちらには後ろ盾がありませんし。費用もございませんから弁護士の方にも…」
「あっ!それなら!」
アスカがぽんと手を叩いた。
「私のママが弁護士してんの」
「えっ!アスカのお母さんが!」
シンジが鳩が豆鉄砲を食らったような顔になった。
「へっ?おかしい?結構やり手で有名なのよ、うちのママ」
「そ、そうだったんだ…は、はは…」
シンジが引きつったような笑みを浮かべたが、アスカは気づかなかった。
彼女はレイのことで夢中だったのである。
「わっ!アンテナ立ってる!」
携帯電話を見たアスカが歓喜の声をあげた。
森の中だけに繋がらないと思っていたのだ。
「はい、昔の名残でございます。この別荘に電波が届くように電話会社がご配慮くださいまして」
「そっか、お金持ちだったんだもんね。あ、ごめん」
「いいの。事実だから」
レイがさらりと言う。
「ちょっと待ってね」
アスカは母親の携帯を呼び出した。
「もしもし私。そう、楽しくやってるわ、うん。
で、お願いがあるの。ママ、依頼を受けてよ」
電話の向こうで大声で叫んでいるのが漏れ聞こえる。
だが、アスカは平然とレイの状況の説明を始める。
その間もアスカに向かって文句を言ってる声は聞こえている。
時間がないとか、割に合わないなどという言葉が聞き取れた。
その癖、最後にアスカが「じゃ、頼んだわよ」と言うと…。
『任せなさい!』とはっきりした声が響いた。
アスカは通話を切ると、舌を出した。
「ほんとに素直じゃないんだから。きっと、二三日中に現れると思うから」
「と申されますと、お嬢様のお母様がこちらに?」
「ええ、そうよ。多分、東京で下調べしてからだから」
冬月はすっかり困惑している。
「あの…私どもには依頼料は払えませんし、勝ち目がないと聞いておりますが」
「大丈夫!任せなさい!」
アスカは電話の母親そっくりの口調で断言した。
「依頼料は勝てばその中からしっかりいただくし、絶対に勝ってみせるから!」
「しかし…」
「ママなら間違いなくそう言うわ。大船に乗った気でいなさいよ!」
シンジは思った。
絶対にアスカは母親似なんだと。
事実、数日後に颯爽と現れた惣流キョウコは、一言半句違わずにアスカと同じく口調で勝利宣言をした。
応対した冬月は笑いをこらえるのにかなりの苦労を必要としたという。
「ありがとう…でも、私…」
レイは俯いたまま、寂しげに言った。
「でも、何?それに勝ったら、アンタは堂々と太陽の下を歩けるんじゃない」
「歩けない。私…」
「どうしてよ」
レイは顔を上げた。
そして、ゆっくりと立ち上がる。
「お嬢様…」
冬月が悲痛な声を上げる。
レイは皆に背中を向けると、黒い服のボタンを上から外し始めた。
そして、襟を大きく開くとすとんと服を床に落とした。
「見るなっ!」
瞬間、アスカがシンジの横っ面を殴った。
椅子から転がり落ちたシンジだったが、殴られる前にしっかりと見てしまった。
レイの背中や足、腕に広がるケロイドを。
アルピノの白すぎるほどの肌だけに、その痕は無残だった。
アスカは素早く立つと、足元に落ちた服を優しくレイに着せなおした。
前に回りボタンをはめてあげるアスカに、レイは顔を上げた。
よく見ると、首筋や頬にも火傷の痕が歴然と残っている。
太陽の下を歩けないという意味はこれだったのである。
アスカはその頬の引き攣りに唇を寄せた。
何故かそうしないではいられなかったのである。
レイは少し頬を赤らめると、アスカの肩に頭を埋めた。
「ありがとう…」
その言葉と共に、床にレイの涙が零れた。
ぽつり、そして、また、ぽつりと。
TO BE CONTINUED
<あとがき>
レイ編その4です。
おいおい、この物語はいつからLMKになったんだい?
しかも長い!その上、イタイではないか。いつから、この作家はこういう趣味になったんだ?
レイちゃんごめんよ。次回まで我慢してね。
それに吉本新喜劇のワルにしか見えない、不良たち。まあ、彼らをリアルに描いたら話が別の方向に行っちゃいますし。
次回は、すべてが丸く収まる…のかな?ま、カヲルが何者かは誰にでもわかると思いますけど。
次も長くなると思います。次回、レイ編最終回!リツコも出るぞ!
2003.10.09 ジュン
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